なんとなく大相撲春場所(大阪府立体育会館のネーミングライツがつらい)をテレビで見ている。
大阪に住んでいるとき、ちょうど大相撲の不祥事で春場所の開催がなくなった。大相撲か何のスポーツ観戦でそのうち大阪府立体育会館に行くことがあるだろうとぼんやり思っていた。でもその機会はないまま大阪を離れた。中継ではあべのハルカスの開業を紹介していた。行くことはあるだろうか。大阪に行く機会はあっても、純然たる観光をする時間は意外とない。
行かないままになった春場所を見ていると、大阪で最後に住んだ場所を思い出す。そしてなぜかわからないけれど、もう戻ることのない夫の実家、そのうち実家でもなくなってしまう場所に、最後に鍵を掛けるとき、夫が玄関から中に向かって「バイバイ」と手を振ったことを思い出す。私の実家は賃貸で、今も家族が住んでいるけれど、強い帰属意識はない。夫にはおそらくあった。あの「バイバイ」は私にとって重い。